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投稿者: 妹尾 ゆふ子 <yufuko@m...> Date: 2001年4月2日(月) 午前9時07分
タイトル: 『ファンタジイの殿堂 伝説は永遠に 3』
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題名『ファンタジイの殿堂 伝説は永遠に 3』"LEGENDS"
著者名:ロバート・シルヴァーバーグ:編(斎藤伯好・他:訳)Robert
Silverberg
出版社/早川書房(ハヤカワ文庫FT)
発行日/2000.12.15
ISBN4-15-020282-6
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全三巻の豪華アンソロジー。
「新たなる春」〈時の車輪〉
ロバート・ジョーダン(斎藤伯好:訳)
"New Spring" <The Wheel of Time> by Robert Jordan
……人気シリーズ。日本でも。邦訳多数。進行中。
異能者モイレインは、竜王の再来である赤子を探して旅をしていた。雲をつか
むような探索行。彼女にその使命を与えた女性は既にこの世にはいない。ほかの
異能者たちも次々と命を落としていく。同期で、やはり同じ使命に仕えるシウア
ン以外に信用できる者はいない――同じ異能者でもだ。
そしてたどり着いた辺境の地で、彼女は滅びた王国の王を名乗る男に出会った。
『伝説は永遠に 2』の感想文で、ジョーダンの〈時の車輪〉のような傾向の作
品には、人物の英雄性が不足しているように感じられるというようなことを書い
たが、まさにこれもそう。
なにしろ、厳しい修行を経て〈絶対力〉を使えるようになった女性が、卑猥な
言葉をかけられたという理由で、さっさとその力を使って復讐しちゃうのである。
行きずりの男に。しかもそのあとで、こんな力を使ってはみつかってしまう、と
後悔するのである。隠密行動中だったのだ。
あのぅ、どう控えめに見ても、それでは馬鹿すぎるんじゃ? 我慢すべき局面
だったのでは? あなたが受けた厳しい修行ってのはいったいどんなものだった
の?
ふつうの巻きこまれタイプの主人公とか、成長ものでまさに途上の主人公なら
まだしも、一人前になった賢者タイプのキャラクターがとった行為だというあた
りに我慢がならない。
このシリーズが好きな人は、まさしくキャラのこうした人間味たっぷりな部分
までも楽しめる読者だと思う。我慢がならないというのは、わたしの個人的な問
題なのだ。
プロットはそれなりに起伏があっておもしろく、しかも本編で活躍するキャラ
クターの若い頃の物語。ファンにはこたえられないサービスではないだろうか。
ただし、こんなにページ数を使わなくても書ける内容ではないかと思うが……こ
れもまた、枝葉の部分が好きなファンにはサービスなのかも。
「ドラゴンフライ」〈ゲド戦記〉
アーシュラ・K・ル・グィン(小尾芙佐:訳)
"Dragonfly" <Earthsea> by Terry Goodkind
……すでにスタンダードとなりつつあるファンタジー作品の続編。
トンボは気位ばかり高い祖父と暮らしていたが、年若い魔法使いと出会ったこ
とにより、魔法への憧れを抱く。村のまじない女にも、彼女のなかには力がある
と言われた。魔法使いは自分に正式な杖をくれなかった「魔法使いの島」、ロー
ク学院への復讐のために、彼女を利用しようとしていたのだが――。
『影との戦い』『こわれた腕環』、そして『さいはての島へ』の三部作で完結し
たと思われていたアースシーのシリーズが、『帰還』という第四作、そして未訳
の第五作をくわえることになったのは、読者として複雑な想いがある。
あまりにも長い時間をおいて書かれた続編は、読者と作者のあいだでのその作
品の姿に乖離があることを明確にする。
読者はいつまでも「昔のままの」作品を好む。だが作者は「このままではいけ
ない」はずだとの思いにかられて続編を書く。だからなんだろうなあ。
ネタバレになってしまうのでうまく感想が書けないのだが、『帰還』の語り直
し、より適切なキャラクターを配置してル・グィンが自分が作った作品世界につ
いて感じた疑念や解消したかった部分についての物語ではないかと感じられた。
しかし、同じことを何度もやっちゃ駄目じゃないかなあ。あるいは、この力業
を使わないと救えない――ということでもあるのかもしれないが。
「灼けゆく男」〈オステン・アード・サーガ〉
タッド・ウィリアムズ(金子司:訳)
"The Burning Man" <Memory, Sorrow and Thorn> by Tad Williams
……タッド・ウィリアムズといえば、『テイルチェイサーの歌』が訳出されて
いる――逆に言えば、それしか訳出されていない――作家。ちなみにわたしは『
テイルチェイサーの歌』は未読。けっこう評判がいいので、いつか読みたいなあ。
やっぱり古本屋にも行かなければ駄目か?
ブレイダは、オステン・アードの歴史に名を残す〈アオサギ王〉スーリスの養
女だった。老齢に達した彼女の追憶のなかで、スーリスはよみがえる。
ブレイダの祖父のこと、薄幸な佳人であった母のこと、そして母とスーリスの
再婚、おそろしい者たちが住まうと噂されていたハイ・キープへの移住。
偏屈で感情を見せることが稀な父との暮らしのなかで、ブレイダにひそかな喜
びをもたらしていたのは、秘密の恋人テラーリンの存在だった。
瀕死の母の願いをかなえようと訪れた、薬草つくりの女からの伝言、書物のな
かに埋没していく父、とらわれてきた魔女――沈黙と秘密のなかから、ブレイダ
がたどり着いた真実とはなんだったのか。
ものすごく地味な話だが、本書におさめられた四作のなかではこれがいちばん
好みに合った。
「海は小魚でいっぱい」〈ディスクワールド〉
テリー・プラチェット(矢口悟:訳)
"The Sea and Little Fishes" <Discworld> by Terry Prachet
……人気シリーズ(古い邦訳あり。現状、品切れか?)の番外編。
実力はたっぷり、そして自分の実力への思い入れもたっぷり、誇りと負けず嫌
いでできているような魔女・ウェザーワックスばあさんのもとへ、お祭りの実行
委員を気どる魔女たちが訪れた。なんと、魔女の競技でウェザーワックスばあさ
んが勝ってばかりいるものだから、ほかの者たちがやる気を出せない、参加を遠
慮してくれないかと申し出たのだ。
ウェザーワックスばあさんの性格で、それを認められるわけがない。
みんなの予測通り――あるいは予想にまったく反して、とんでもないことが起
きはじめた!
この手のイギリス系諧謔味が楽しめる読者にとっては、イケてる一作。
ただし、シリーズへの知識がないせいか、ウェザーワックスばあさんならなに
をしでかすだろう、というワクワク感、あるいは作中の人物たちが抱えている怯
えへの共通理解が少なめで、ちょっと損をするかもしれない。
以前、『ディスクワールド騒動記』は読んだのだが……昔すぎて「読んだ」と
いうことしか覚えてないなあ、もはや。
というわけで、まあ、読み得買い得な一冊ではあり。翻訳系ファンタジーのフ
ァンであれば、やはり押さえておくべき本かも。あとは『1』を入手しないとな
あ。ぼんやりしているあいだに店頭から消えてしまったのである。
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