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投稿者:  "Hiroshi Takahagi" <takahagi@g...>
Date:  2010年7月6日(火) 午前0時24分
タイトル:  劇場法(仮称)に関して



東京芸術劇場の高萩です。

 cpnet-info 02953 の片山さんのご意見のあと、CP−NETでも、議論が深まる様子がないので、もう一度infoに投稿します。netへ、移すべきものでしたら、どなたかご指示下さい。

高萩

劇場法(仮称)に関して

最近の劇場法(仮称)への疑問に、僕なりに考えてみたことを書いて見ます。議論が少なすぎるといわれている劇場法(仮称)への関心が高まればと思っています。あわせて、劇場法(仮称)、日本版アーツカウンシルに言及している今回の文化審議会の中間報告へのパブリックコメントの提出を(7月9日締め切り)、是非お願いします。

 100705 高萩

疑問点、

1、戦前の映画法が、設置の基準に関する法律だったのに、次第に内容の統制に向かったように、いつか内容にまで関わる国家統制につながる危険があるのでは?

2、中央から法律で、人の配置などを規制することが地方分権に反する。地域で作られた劇場は地方分権の象徴のようなものであり、その運営方法も地域で決めるべきである。

3、関係者(首都圏における劇団関係者、地方の自治体関係者が管理している劇場・音楽堂のスタッフ、観賞団体としての演鑑・市民劇場の関係者)の間で、新たな法律設定に向けての盛り上がりが欠ける。

4、日本の演劇は、民間の劇場に支えられて来た経緯があり、民間の劇場への補助金もセットに法律を考えるべきである。



考えたこと

1、国家統制につながる危険に関して。

   そろそろ、法律の具体的文言案が出てこないと、これ以上論議できない領域ですね。日本でも戦前は、治安維持法、検閲法、入場税法など、舞台芸術の発展を妨げる様々な法律があったので、ここらあたりは、小林さんなど法律の専門家が、危険性があるのか、ないのか、案が出た時点で意見を言って欲しいですね。または、事前に、こういう条項、こういう言い回しは危険だといっていただけると助かります。



2、地方分権への逆行ではないか?

   現在考えられている劇場法(仮称)では、設置、メンテナンス、大規模改修、運営の規模などは、かなり自治体の裁量に任せられると考えていますので、地方分権を阻害するという危険はないのでは?というのが僕の意見です。

   日本の地方は、ヨーロッパ諸国と異なり制度の異なる外国と地続きで接していないため、どうしても国内問題に集中しがちです。しかし、経済、人の移動、伝染病なども全ての出来事が一国だけの国内問題では片付かない状況の中で、国際的にアクティブであれ、と指令するぐらいは、国が口を出し、少しお金もだしても良いと思いますが、いかがでしょう?
 国が法律を作る根拠として、国際社会の一員として国を運営していく上での責務でさえある芸術文化の発展・継承を、東京だけが担うのではなく、地方にも請け負っていただく。国立大学が、学術、先端技術という人類の財産の創出のために、競争的資金(科学研究費)を競って獲得し成果を出しているように、地域の劇場にも舞台芸術の表現を創造しその成果を競っていただき、またその成果を、どのように地域に還元していくかが、各劇場の個性になる。と云う説明ではいかがでしょう。



3、関係者の盛り上がりに欠ける。

   実は、現状において「公共劇場にいる舞台芸術の関係者の数」が少なすぎるのです。せっかく設置した劇場・音楽堂は「芸術活動に使われる」というより、ただ管理されているのです。そこには、専門家が存在せず、施設を掃除し貸し出すために管理している人々がいるだけなのです。

首都圏にいる舞台芸術関係者にとっては、90年から始まった国税からの芸術活動への補助によって、現状は80年代より確実によくなって、しかも皆さん忙しくなっています。舞台芸術の創造の現場の環境をよくするためには、欧米先進国に倣って建物を根拠地とした活動へと移行させて行くべきと思っていますが、現状ではそういうふうに活動している人々が少ないのです。

地方の劇場関係者・観賞団体関係者が、この法律を歓迎していないということですが、我々推進派の説明がまだまだ行き届いていないと思います。劇場法(仮称)が出来れば、いきなり別のところから専門家が現れて劇場を運営し始めるというより、現在、地域で舞台芸術に関わっている人々が専門家になり、劇場の運営に当たっていくというイメージです。もちろん、一部は東京で既に活動している人が混ざっているかもしれませんが。  

とにかく、90年代以降少しずつよくなってきている現状に満足せず、次の段階を考えると、公共劇場を建設した地域のためだけでない国際的な活動を支えるためには、法律的根拠、資金的手当てが必要を思っています。

さらに、舞台芸術の専門家への社会の期待は、創作活動をきちんと行うことだけでなく、表現・コミュニケーション教育にも貢献してほしいなど、多様になってきており、そういう専門家の育成も急務なのです。地域の大学との協力で、専門的劇場で必要されている人材のこれからの育成も急務です。



4、民間劇場が置き去りにされることについて。

   今回は、公共劇場の限った話にして、公益法人となっている地方の財団が運営している劇場・音楽堂を対象として、劇場・音楽堂、設置自治体、国のそれぞれの役割を決めると考えたほうが良いと思います。

   新たな観客創造、作品創造、人材育成、国際共同などをきちんと公共が担えば、民間劇場の生きる道も見えてくるし、税制優遇などは、全く分野の異なる法律なので、それはそれで、別途考えていくしかないと思う。



以上、何人の方かとお話したときに、出ていた疑問点について考えて見ました。その上で、やはり、劇場法(仮称)の制定、その活性化のために日本版アーツカウンシルの設定を一緒に考えていければと思っています。


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